マーメイド/蒸発王
 
っと大きな壁があった
足を作ってもらうだけじゃ
超えられない壁が


そこで彼女は初めて笑顔を消して





子供が産めなかったの



と告げ



そして深淵の海のような瞳をして

ごめんね

と僕を見つめた


瞬間



僕はおとぎ話のように
本当に彼女が泡になってしまうような気がして
彼女の王子になるべく
シーツの海の中で彼女を抱きしめた






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