シャマンの唄/佐々宝砂
降りてくる。
それは不意に、
エスカレーターで、それともエレベーターで、
あるいは手すりのない広い階段を。
鏡に映るわたしの姿が歪む。
墜落する軽気球。
わたしは呼ばれている、
トンネルは暗い、
でもその向こうにほの見える景色は明るい。
砕けたグラスの輝き、
極彩色にきらめく鱗、
うねる蛇、巨大な。
呼吸を乱してはいけない、
叫び声を上げてもいけない、
裸足を地面につけて、
目を閉じて、
耳をふさいで、
見ろ、
そして聴け。
命じているのは誰だ。
ああああ。
咲き乱れるヒヤシンス、
滝の飛沫、
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