緋恋の指輪/蒸発王
 
スは無く
少し黄みがかった
オパールの指輪が転がっていた

光を反射して
碧く朱く光る石のような

忘れた恋が


――いつしか誇りに変わるでしょう――


数分間
呆けたように
指輪をかざしていた私は
彼の鳴らすドアベルの音に

少し笑って

玄関に走っていった






あの指輪を大切にしまって








『緋恋の指輪』

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