神の詩、片端に記された聖書、ただ落下しては流れてゆく雨の行先/ホロウ・シカエルボク
 






狂ったのは数秒、破綻した能書きを淡いグリーンのタンブラーに短く吐いて、眼の中を覗きこまれる前に正気の振りをした、恐怖が心臓を肥大させて鼓動の破裂で肉体を破壊させようと目論んでるみたいで、やり過ごせたと感じたらその瞬間、意識を支えるものがなくなった、ねえ、俺には昔神様がいたんだ、だけどなんと言って拝んでいたのか、いまではもう忘れてしまった、荒れ果てた祭壇には白骨化した何かの骸が静かに眠っているのみさ、血の味を覚えているか、いつか嬉々として啜った血の味、それは今でもお前の胸の内で脈を打っているか、罪だ、罪だ、生を烈しく望めばそれはすなわち罪だ、灯りを消した部屋の白い壁に死神のよ
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