幻影海峡/
北村 守通
の元だと
身をもって知りました
(惨の刻)
だいだいの
瞳はうつろに
にじんでいった
あふれて
あふれて
あふれだして
潰れていった
潮の香が
かすかに鼻をついた
月もなければ
星もない
雲さえなかった
空の下
歯につまりし
砂の音が
ざわめく
ざわめく
ちかちか残った
残光も
泣きすがりては
ざわめいた
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