臆病者の願望/秋也
世界中で新しい音楽がどんどん鳴りひびくのに
その総てを網羅できない自分は
トイレの
便器で
頭を抱え
冷凍庫の中から引っ張り出した氷を
口内で
舐め回し噛み砕き
溶かしている
自分一人が
取り残されている気がして
自分一人が
つまらない奴な気がして
疲弊している
このまま死んで骨だけになったとして
僕は残るのだろうか
子供の時から思った
恐竜の化石になりたい
何も生み出さず
そこに集めて
在るだけなのに
魅了されるモノになりたい
ひたすらな無意味であるか
叶わないなら
無意味をせめてつくっていたい
二個目の氷を齧り
体温を下げる
そんな終わり方が理想的なんだ
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