ノート（つたう）/木立 悟
強い風のなかを
持ち上げるように
持ち上げられるように
地面 空気 歩むもの
地面 空気 馳せるもの
ゆっくりと肩いからせる動きたち
風にぎる指へと伝わってゆく
速さ 速さに青は閉じる
雲が 雲が 越えてゆく
見えることのない境界線を
土から溶け出す過去の声を
雲は 雲は 越えてゆく
古く巨きな楽譜のように
草に埋もれた轍と鉄路
黒く瑞々しい夜の荒れ野に
散りつづける虫の金属音
奏でるものから
奏でるものへと
それは震え
呼ばわる声
それは伝え
伝わるもの
[ｸﾞﾙｰﾌﾟ]
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