夢しゃしん/
恋月 ぴの
なものは感じられなくなっていて
私にはこっちの由紀さんのほうが好きだったりした
洗面所の鏡の前に立ち彼女がしたように指先のカメラで自分自身を撮ってみた
カシャっとか小声で雰囲気添えてみたりした
日増しに蒸し暑くなってきたけど夜風には辛うじて涼しさを覚え
二枚重ねの毛布に包まり同居人の帰りを待つ
うたた寝の瞼にひたひたと浮かび上がってくるもの
素直には受け入れ難いのだけど
それが私以外の何ものでも無いことを私だけが知っていた
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