夢しゃしん/恋月 ぴの
 
私とはひとつ違いだった
先生の評判を聞きつけて遠方から通ってくる
いわばミーハーな生徒さん同士

どちらからともなく話しかけると
すぐに古くからの友だちみたいに親しくなって
いわゆる「気の置けない女友だち」、それが由紀さんだった

三日早く入学した先輩なんだからねと笑いながら手伝ってくれた
不器用な私とは違って手際よくパン生地を捏ねていた

カメラも趣味とかでみんなの笑顔とか焼きたてのパンとかスナップしてた
みるからに高そうな一眼レフのデジカメ
カシャカシャと官能をそそられるシャッター音に魂まで盗られてしまう気もした

こんどさぁ撮影がてら姉のところへ行くんだけど付き
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