/びわ
狭い店内は布の匂いで音がしません
最初に来たのは男の子
扉を開けるなり中身のある帽子下さい
って言った
なのでニット帽の中に 余ってた黄色のフェルトを詰めてあげた
次に来たのは男の人で
じっくり店をながめて
コーラルレッドのガラスがいっぱいついたブローチを買ってった
彼には無数のバッジやブローチがついてたけど
どれも寂しいいろだったなぁ
雪がふりそうな天気、天井のシャンデリアは揺れない
宿無しのおじいさんは赤いリングを2つ盗んで行った
髪の長い女の人はキレイな細工の髪切りばさみを倍の値段で買って行った
何かが、きっと足り
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