家族の精度/鈴木まみどり
残りは薬指だけだった、そこに仕方なく嵌め
たのだ
、( )、ひとつ
だらしのないダイニングテーブルに果実の匂
いが佇み、とりわけイチゴのような、界隈を
ぐるぐると徘徊する、酸味、母は薬指を差し
出し、舐めた/たため、
子どもが
生まれたのだなぁ、、
月、でさえ、みずから輝いている
のではない、と父は言うが、(彼は家族につ
いて語る準備ができていなかった
「光が薬指の爪をすべ
ったとき、うっかりと、」
海、落ち、
子ども部屋にはいくつも
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