夏休み/遊佐
 


夏がほどけて…

 *
魂迄もが吸い込まれそうな程
深く澄んだ青空の背景に7月が漂う午後に、溜め息一つ
ふうっと飛ばせば、眦(まなじり)を掠めて悪戯小僧の麦藁帽子が天高く舞い上がり
通りすがりの風が爽やかに笑いながら

夏が訪れた、と
囁いた

 *
乾いた薄い膜に覆われた蜃気楼のドームに映える色鮮やかな黄色が眩しくて
被り直した麦藁帽子のひさしの向こうに
千切れた雲の形した宿題が、
ひょっこりと顔を覗かせる
古い記憶の縁取りは今も胸を焦がしたままに遥かな旅の扉を開く

例えばそれは夏草の陰

ひょっこりと顔を覗かせて
帰って来たよ、と
悪戯小僧が笑うこと


 *
去年よりは少し進化した少年
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