落陽/
 
東風に棚引く黄昏の裾
七つ子抱える烏食む
煤けた洞で盲目蝙蝠眼を開く

トン、タン、リリリ
シャララララ

山奥潜める沼の先
主棲む蔭から囃子が響く
童が慌てて戸を閉め指挟む

トン、タン、シャララ
リリリリリ

軒先の白梅葉を下ろし
素知らぬ顔で横たわる
黒猫夜目を光らせ爪を研ぐ

トン、タン、リリリ
シャララララ

夜闇が黄昏攫う時
主が町の背中を舐め上げる
囚われぬ内
食らわれぬ内
童よ綿の合間で瞼を閉じよ






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