行列/あすくれかおす
ーが高まる
微動だにしない自動ドア
銃口はいまどちらにむけられているのだろう
見よう見ようとする視力を失ってからどれくらいたったのだろう
命はぽろぽろと開き続けて
命はぽろぽろとしまわれていく
半開きの蛇口がいたるところにあって水が
栓がないバスタブの穴を目指しつづける
どれくらい前から
これから先もずっと
いつまでもおびえたりしない
いつまでもそびえたりしない
いつまでもねむってばかりじゃない
いつまでもしゃべらないままじゃない
ただ今はこのようにあるだけ
ただ今は
きみの静寂のなかに
この文字がしばらくうかんできえる
いつまでも会えないわけではない
冬の窓文字とおなじ言葉が
ただ今は見えないままなだけ
閉じているときほどやさしいから
ぜんぜん空しくなくて
冷んやりして好きだけど
突然じゅって音がして
ひと粒が蒸発してしまうような熱が
ふたたび君の口から語り出されることもあるかもしれない
そのような熱が
そのような熱が
ただ今はそこで
ただ今はここで
むやみに見えたりしないだけ
戻る 編 削 Point(4)