闇を、夜に、蛍/たりぽん(大理 奔)
息苦しい毛布に潜り
生温かな呼吸を繰り返している
朝が来れば、くれば、と
闇のない夜に
恐れる心が奪ったから
やさしい鳥は渡ることができない
闇でなければ輝かない
道標の星座を失って
蛍が恋人を見失っている
何も見えないほどの闇が育む物すべて
を、失ったから
街には蛾ばかりが舞っている
遠くで雨が降っている匂い
それがなぜかうれしい
うつろっていく世界が
受け入れてくれたようで
夢だけの夜は眠りが浅い
冷たい水に腹を浮かせて
流されていく蛍
闇に吸い込まれて
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