残骸/葉leaf
 
ゆがんだ水の端を手折ると、狂った植物がその秒数を逆さにする。空気の残骸の渦の残骸が、その風光を光に記録する。ゆがんだ水の意識がなめらかに転がり、目醒めた植物を汲み上げる。神と神との境界は拡大し、神は消え、ゆがんだ水がその無限に広い境界を埋める。

距離の残骸があたらしい水に突き刺さり、波紋が時間の斑点として繁殖していく。あたらしい水の都市には冷たい怒りが立ち並ぶ。都市を歩く鉱物の卵巣には空間の残骸が育っている。鉄道だ! あたらしい水は蝟集し、神の下車を待つ。下車したのはゆがんだ水の軍隊だった。

ゆがんだ水は地面を切りながら、あたらしい水の緯度をゆがめる。植物は雲を走り、鉱物の輝きに根を張っていく。あたらしい水は角度の残骸を流れ抜けて、ゆがんだ水と混ざることに成功する。混ざってできた水の残骸は、都市を満たし、植物の眼を開き、鉱物の握力に包まれた。麗しい春の日の残骸のことだった。

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