saga/靜ト
 
の歯を見せてわらう

「他の誰かがいるさ。そいつが手に入れば楽になれる」



心を強く握られて 麻痺してしまえばいいのに
あたしの心は死に損なって 摑まるものを探し出す

だから きっとまた欲しくなる

手に入ったって

手に入る簡単な誰かじゃ駄目なのだ


あの人が欲しい あの人だけが欲しい


みどりいろと目が合う
哀れんだように小さく笑ってから
すぐ消えた


夏の夜の空は ぽかん と広がって
何かがうめてくれるのを待っている

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