ハンモック/王
のかな
蝉が鳴いています
せかされるように
彼こそが風だ
やがて
暗くなりかけの赤
瞼を閉じていても滲みてきました
とうに汗は醒めてしまいたが
まだハンモックに揺られています
そうだ
闇に包まれてもここにいることにしよう
実は待っているのです
冥王のその先から届くはずの星雲通信
ハロー ハロー
僕は元気です
が、溺れている
ピー ガー
君の写真が色あせ
消えてしまいそうです
消え
今度いつ会える?
誰もいなくなったこの星で
ハンモックに揺られています
梟が低く静かに一度だけ鳴いて
蝉の寿命を告げるのです
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