過去の遺物/こめ
 
写真にうつっている僕は

満面の笑みでカメラを見つめていた

でもそれは過去の遺物

その写真にライターで火をつけて

灰皿になげすてる

今なら言えることは

昨日は言えなかったため息

ずっとずっとこのままだと思った

けれど振り向くとわかってしまった

思い出は過去のことしか

思い出とは言わないと言うことを

いちめん白銀の世界の

宮殿に赤い血を一滴たらしました

その血だまりはじょじょに広がり

世界は濃い夕焼けが訪れた

うつ向いても見える物は

必ず自分の足と地球だけ

暗闇で必死につかんだのは

貴方のさしのべてくれた

テノヒラでした

自分の美しさは一番わかっているよ

だから自分が好きになれない

頬をつたうのは

生ぬるい涙だけ

迷わず君の所での道を

税金をかけて作ってほしかったな

分かったふりしてわからないのは

それだけこの世が絡みあっているからだった
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