流水/
衿野果歩
川べりを歩くように
線路沿いを歩く
この街はせわしないから
列車に幾度も
追いつかれては追い越される
たくさんの人の思いが
列車に乗って
近づいては遠ざかる
まるで別の時間軸で
僕らは進んでいるようで
川べりを歩いたとき
君はそっと手を伸ばした
流れる笹の葉は君をかわして
水の感触だけその手に残った
僕は笹の葉に乗って流れていく
君を想像した
あのとき
流れの外にいたのは
どちらだったろう
遠ざかっていったのは
過去と未来と
どちらだったろう
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