Shaman's Love Song 2/佐々宝砂
つくのか
そもそも私の足は砂を踏まない
風紋は私の足に乱されない
私は歩いていないのだ
コンクリートの壁がたちはだかるなら
他愛なく乗り越えてゆけた
(そうだ私には翼があるのだから)
濁流が行く手をさえぎるなら
あっさりと跳び越えてゆけた
(そうだ私は重力を無視できるのだから)
けれど私はこの部屋から出られない
この部屋のドアを開けることができない
目を開いても砂浜が広がる
海が見えたら
海が見えたら
海が見えたら
潮の匂いを髪にしみこませて
ただ私は叫び
ただの一歩も動かずにいる
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