減ること。/高橋魚
 
だらしなく広がる巻層雲に横たわる私だったが、何も香ってこないので、イヤホンを外し接触を始めることにした。

ちゅんちゅん。
透いた空中を流れる声。
明らかに小鳥の発するものだった。

私は瞼の裏にその映像を描きながら、陽光と陽熱との柔らかな協奏曲を枕として、ただ、横たわっていた。

またちゅんちゅんと音がした。
またちゅんちゅんと音がした、またちゅんちゅんと音がした、またちゅんちゅんと音がした。

私はそれを瞬間として捉えることが出来ず連続として捉えたので、その声の墜落してゆく姿を浮かべてしまい悲しくなった。
墜落した場所は
その声自体の重量に耐え切れず
地割れを起こし
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