本当のこと/新守山ダダマ
俺は俺という鎧を脱いで
ぼくも わたしも
全ての一人称を捨てて彷徨いたい
全てが嘘っぱちに見えてしまったんだ
渋谷ハチ公前のスクランブル交差点
あそこを行き交う人々がみんなエキストラに見えた
これは世の中という映画の撮影なんだと
ただわけもなく忙しく歩かされているんだと
そんな失礼な世界観を持ってしまった
真剣に生きている人々に対して
この世の全てはフィクションだなんて みんな主人公じゃなくてエキストラだなんて
失礼極まりない世界観だ！
本当は本当のことが知りたいのに
本当のことなんて本当は何一つないと思いたがる自分がいる
本当のことを求めなきゃいけないような世界から逃
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)