シーラカンスの夢/nonya
 

ブラックスモーカーの
熱い暗闇のほとりで
スケーリーフットを枕に
わたしは不思議な夢を見た

空っぽの背骨を
滑らかな夜風で満たして
わたしは空に浮かんでいた

手足になり損ねた鰭を
不器用に羽ばたかせて
わたしは月明かりを浴びていた

たとえ空を飛んでも
わたしの姿は変わらない
硬すぎる鱗は決して
わたしを哀しみから守ってはくれない

たとえ夢の中でも
わたしの姿は変わらない
醜すぎる顔のまま
わたしは化石にもならせてもらえない

それでもわたしは飛び続けていた
夜の海のあてどなさの上を
温かい匂いだけを頼りに
ときおり星に瞬かれながら

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