料理と詩について/あ。
 
はじめて母親のお手伝いをした日
食卓には不格好なハンバーグが並んだ
焼きすぎてかさかさになったそれをかじり
父親はくしゃくしゃ頭を撫でてくれた

求めていないとは言わないけれど
ただ、とっても単純なことで
褒めてもらうと嬉しいのは
大人になっても変わりはしない

くつくつと煮物を作っていると
額にうっすら汗をかく
首にタオルを巻いて時々ぬぐう
ちっともスマートじゃない姿だ

笑顔があればそれでしあわせ
おいしいねって
頑張ってるねって
頭を撫でてもらえれば
充分満たされるんだ

難しいことは出来ないしやらない
簡単なことでいいから丁寧にやる
きちんとやって褒められたら喜ぶ
これは家事炊事だけのことじゃない

わたしは
そうやって
詩を書いている

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