現実の夢/智鶴
「今から貴方に嘘をつくわ」と
君は僕に酷く哀しいキスをした
目隠しを外して君の眼を見たいよ
嘘も、言葉も
全て信じるから
指を伸ばして君を探した
冷たい肌が四方に触れる
君はいつから死んでしまったの
僕に何の別れも言わずに
僕の愚かな想いを笑って
神様、早く
僕を殺して
それは熱く永い夜の夢だった
理性、感覚、感情
全て狂い出す夜だった
君に愛された全てが夢だった
それを知ったのは君を殺してからだった
神様、僕を
(殺して)
君に悪戯に触れてみた昨日を
思い出す度君が美しくなる
醜いほどに美しくなる
無限に美しくなる君を愛しても
僕は現実以外でしか美しくなれない
それでもいいなら
僕を殺して
今、此処で
愛して
(愛して)
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