短い夏の終わり/こめ
 
夜桜がきらびやかに

うすい光のなかで

景色を染めていた

咲くから散るのか

散るから咲くのか

いずれにして儚い物は

うつくしかった

爪先立ちした兎は

背伸びして地球をのぞきこむ

暗い影とは背中を合わせる

紅葉の横顔に

土をかけた

積みかさねていった

小さい罪が

いつしか雲より高くあがった

透明な湖に浮かぶ

満月に掴みたくて飛込んだ

しずみゆく体それでも

見えてくるのが

ゆらゆらゆれる月光

川から流れる桜の花びらを手にとり

まだ冷たさがのこる花びらを

飲み込んだ


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