死海/ことこ
なの
たえられない
たえきれない
ここでは
どんな生き物も
生きることができないのだと
静かな墓標に
人々は浮かぶのだと
ね、なのに
あなたと手をつないでいれば
クラゲみたいに
からだを透かして浮かぶのも
悪くないかもしれない
なんて
思い描いた真昼のひかりは
波紋のように広がる
ひろがる
ひろがったのは
わたしのほうで
いえ
むしろいんりょくによせられたのであって
てをはなしてしまえば
しずんでゆくのだと
おもっていたのに
おそれていたのに
おもいおもい
に
拡散する
夏の影を
静かに剥がせば
生まれたての皮膚は凪ぎ
そうして影は
はじまりの淡水へと
還っていく
戻る 編 削 Point(7)