死海/ことこ
 
なの
たえられない
たえきれない

ここでは
どんな生き物も
生きることができないのだと
静かな墓標に
人々は浮かぶのだと
ね、なのに
あなたと手をつないでいれば
クラゲみたいに
からだを透かして浮かぶのも
悪くないかもしれない
なんて
思い描いた真昼のひかりは
波紋のように広がる

ひろがる
ひろがったのは
わたしのほうで
いえ
むしろいんりょくによせられたのであって
てをはなしてしまえば
しずんでゆくのだと
おもっていたのに
おそれていたのに
おもいおもい


拡散する
夏の影を
静かに剥がせば
生まれたての皮膚は凪ぎ
そうして影は
はじまりの淡水へと
還っていく
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