ノート(偽りと陽)/木立 悟
うなり 波
粒のあつまり
粉の道と坂
星と指の跡
灰に鉛に明るい日
鏡の後ろを歩いている
鳥の背が
曲がり角の露光をまとう
空に鉄の到く静けさ
水の頂は平たく遠い
洗われたばかりの光が並ぶ
原と街の境いめの道
真昼を偽る罪を重ね
牢の陰でまたたいている
落ちる汗 樹を呑む花
肺へ肺へこだまする
針の子をひたす水
錆は沈み 音になり
上に下に横に降る木と
同じかたちの火を浴びている
大きくなり こぼれる
子が
花をふたつ持ち
生まれる
雨
水面の陽を追い
人は街から消え
午後はまぶしい
曇の高さ 指の高さ
沖と目を結ぶ線
置き去りの高さを
風は巡る
釦 鋏
石の坂の息
白より高く
銀は昇る
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