みちくさ紀行/あ。
 
季節のしるしを見つけたくて
うろうろと瞳を泳がせ歩いていたら
夢とうつつの小さなすき間に
足をとられて転んでしまった

うつぶせで顔を伏せたまま
両手をありったけ広げてみる
土の匂いが身体に染み渡り
大地を抱きしめる感覚

大きくひと呼吸したらころり
あおむけで手を伸ばす
光と風を丁寧に浴びる
空を抱きしめる感覚

一度に両方を抱きしめたいと
そんなことを思うのは
贅沢でわがままでしょうかね

終わりの見えない一本道
その真ん中で大の字になっている
前を見て歩くことばかり考えていた
こうやって止まって視線を広げれば
わき道の美しさにも気付くのに

少しくらい予定が遅れても
まあいいかと笑っていよう
誰にも内緒でそっとみちくさ

指で触れた先には
隠れるように花開く昼顔
その葉とゆっくり握手をした

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