偽善者は結局僕だった/こめ
った
拾ってくださいと書いてあった
段ボールの中では小さな仔猫が
精一杯に泣き
自らの生命を守ろうと必死になっていた
無駄な命はないとみんながいうけれど
今消えかかっている生命を救おうとはしなかった
みな親が駄目だとかアパートにすんでいるとか
そんなくだらない理由だけで
命を捨てていた
僕はそんな人間と同じだ
自分のことしか考えていない
そう思ったが
どうやら僕は自分が思った以上に偽善者らしく
その濡れた仔猫を優しく抱き
家路に戻ってしまった
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