どこまでもどこへもどこでもなく/石川和広
 
{引用=草っていうのは
好きなことばのひとつです

あといくつか好きなことばがあるのですが

そこに石があってもいいし土も
あるだろうし水たまりもあるし
雨がふっていてもそれはそれで

場合によりますけどね
悲しいときに草を見ると
自分が今ここにいることが
何にも支えのないことのような
身体のおもさだけあって
それ以外はなんのかかわりもない
空間というかそういう囲いのなさみたいな
そういう

気づかされて
かろうじて感じていられるような

草が
そういうとき自分にとって目に入ってきた
ということは
覚えていますね
何年前のことかしらないですけど

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