肺で呼吸するいきもの/因子
ことばが死産する
なまなましい胎児のあしが
私の穴からぶら下がる
無様なすがたに笑いもせずに
がらすの砕けたような瞳で
股の間を見下ろす私を
私が笑い
なるべくやわらかく慰めてやる あきらめたように
頭を撫でてあげよう 死んだのは私だ
また死んでしまった
私は腹を撫でる
もうどれくらいこのままだろう
何度殺しても
産まれようとするけもの
子宮の中から私を
殺そうとするけもの
きっといとおしくなる
自分と区別できないくらい憎くなる
あまく重くなっていく
そしてそうなる前に
私のいのちが切れる
腹を撫でる
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