バスケットボール/依
それでもこの島を愛している
ぬるい潮風の中でしか
自分が自分でないことも知っている
華やかな女優達を誇りに思いながら
冷えた都会を恐れながら
重苦しい現実を
酒とタバコとスパムで紛らわせて
新しい風が吹くのを
少しばかり残った希望で待っていた
王国なんて言葉
もう誰も覚えてなどなかったけれど
僕らは金色のユニフォームが大好きだった
指笛が聴こえた
指笛が響いていた
あんなに小さな体育館から
あんなに大きなアリーナに
本当に
新風(みいかじ)が吹いたのを観た
僕らはもう、諦めなくてもいいのかと思ったりして
忘れない、という思いで
ローカルニュースを聴いているのだ
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