不透明な世界/緋月 衣瑠香
 
れたね
ありがとう
お蔭で風邪をひくことはなかったよ
大切に次の冬まで取っておかないと

/なつ/が/ちかい/の/です/

定期考査間近の満員電車
勉強する気なんて起こるわけなくて
なんとなく携帯電話に手をやる
いつも通り誰からも連絡はなし
保護してあるメールを読み返す
画面いっぱいに広がる君の

/なつ/が/ちかい/の/です/

もう私の中には春はいない
それなのにこの頭は
春の中にいたいと言う
記憶の中にいたいと言う

/なつ/が/ちかい/の/です/

捨ててしまいたいものがたくさんあるのに
私の頭は捨てることを許さない
無理矢理にでもすれば目の前のものがすべて海の白に見える
ほら、もう

/なつ/が/ちかい/の/です/

満員電車から解放された私は
汗を拭い遠くも近くもない潮の存在を感じながら
先へと急ぐ

/かなしい/おしらせ/です/
/あなた/を/この/あたま/から/しょうきょ/し/ます/
/しょうきょ/し/ます/
/しょうきょ/
/
/
/
/
/[error]



戻る   Point(17)