川縁の風/渡邉建志
 
さいているとか
いやぁまさか、そんなことは無いよね、と
わたしはひとりでにやりとする

そらはほほえんでいるのに
なみだをながしているのはどうしてだろうと思って、
天のだれかがきっと
ほほえみながら泣いてるからだと気が付いた
きつねかな
きっときつねのおよめのお父さんが
うれしくて、うれしくて、
ないてるんだ、きっとそうだ、
ぼくのけっこんしきにも
お父さんはないてくれるかな?

雨が降ってきたので私はスピードをあげる
飛べ、流星号

川上にはきれいに桜の木が並び、
その上の空は澄み切っていて、
その下に北山連峰が青々と左右に広がっている
その山の向こうには
美山―みやま―町という美しい名前の町がある
山に囲まれた美しいせせらぎの名前は
美山川、だったっけ?

わたしはさかさかと流星号をこぎつづける
子供はわたしの後ろでりょうてをひろげて
かぜをかんじている
 
 
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