即興掌詩4点/佐々宝砂
お昼までの酔い
午後に恐竜が現れてもわたしはしらない
みみずのしっぽは空をむく
定家葛はひたすらのびる
墓にしがみついていたわたしの腕は朽ちた
あなたは植物みたいに芽を吹き出して
わたしが伸ばした腕をわらう
定家葛をわらう
ゾンビのようにあやつられているのかしら、あなたは
もとのあなたとはまるでちがう
不気味にあかるいはれやかな笑みを頬にはりつけて
わたしではない乙女ののどにくらいつく
わたしは女衒屋のおかみよろしく乙女の手をとりあなたにあずけて
見上げるそらは今日もばかばかしいほど晴れていて
*
彼女の砂糖細工みたいな髪
あの髪よりもあなたの声はあまい
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