手紙の気持ち/小川 葉
 
 
 
君の街の郵便局に
僕は辿り着いた
大きな荷物を背負って

配達したけれど
不在なので
僕はまだここにいる

早く届きたかった
産声をあげて
君に封を
切ってもらって

はじめて届く
手紙なのに
君の顔を覚えてる
笑う顔も泣く顔も
時には表情のない
顔が怒りに変わることさえ

君は知っている
僕にも同じ表情と
感情があることを
なぜなら
僕には書かれている
君に伝えたい
誰かの気持ちが

僕はなるべく
君が笑う顔ばかり
思い出した

保育園の頃
夕暮れの向こうから
迎えに来てくれる
母さんのことを
思い出した

背中にまるめて
背負っていた
母さんの絵を
早く広げて見せたかった
あの日を
 
 
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