脳内麻薬/渡 ひろこ
 
ブクブクと臭気を放つ鈍色の沼に
わたしたち二人呑み込まれぬように
細く裂かれた神経を麻痺させて
かろうじて踏みとどまる



このまま薄いグレーの真綿で
三歩先の未来はふさいで

たゆたうまま、痺れたまま
寄り添って歩く




さっきより高くなった陽差しが
草むらに乱反射する


雲雀が囀りながら
自分たちのテリトリーを守っている



いつかもがれた羽が戻ってくるのだろうか



からめた指をほどいて
あなたからつないでもらう



今度は少しだけ強く握ってくれたような、気がした








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