脳内麻薬/渡 ひろこ
電話のあなたの声がしゅるしゅるとしぼんでゆく
タイムリミットは15分
「ウルトラマンのカラータイマーみたいね」
3分の5倍あると思っても
沈んでいくあなたを掬いあげられないまま
電話を切る
着メロの悲鳴の向こうにある闇を
わたしは未だに知らない
つかの間の休日
緩んだ陽差しの中、つないだ手が冷たい
指をからませようとも
力なく為すがままのひとまわり大きな手
この間ふいにわたしに触れた、男の手の方が熱かった
体温さえも奪ってしまう
あなたを疲れさせたものは何だったのだろう
病んでいるカタチもわからないまま
朧気な輪郭だけをなぞっていく
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