失敗をするなら夜のうち/竜門勇気
緑の色腐れていく
食事に混じった泥に気づかないでいる
彼女が飛べると言った日から
俺はずっと彼女の街の上で
ぐるぐる回っている
意味のねーことさ
気持ちの悪いことさ
彼女が飛べると言った日から
俺は歩かなくなった
いつもの肌色日暮れ雨
山なりには粒に触るような影
彼女が俺の言葉を買いたいと言ってから
ずっと全てを売り続けている
蜜柑の房みたいな気持ちと
犬の欠伸みたいな気持ちと
本当とそうじゃないことを
彼女が「全部あげるから一つでも欲しい」と
小さな写真をくれた日から
俺は売り続けてる その写真に適うまではそのつもり
いつもどおりで済ますなら今の
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