こんな詩が書きたい/ふるる
ておしまいになるまでの時間
例えば
天使の吹き鳴らすさびしい金管楽器
例えば
悪魔の飲み残した胃腸薬
例えば
病気の少女のベッドに咲き続け枯れ続ける
おびただしい花々
例えば
カリカリベーコンを
ちびちび食べている若いオス犬
例えば
おしりを光らせながら眠る
蛍の幼虫のくすぐり方
例えば
星の子が恋の歌をみんなの前で歌う
そのちょっと前の咳払い
例えば
古びた土蔵の暗闇でひとり立ち続ける
白磁の花瓶
例えば
地球最後の煙草が吸い終わられた瞬間
例えば
(・・・・・)
そういう詩が書きたい
重々しくなく軽々と
ガリゴリでなくカリコリと
けれど例え
タンポポの綿毛をやさしく吹いて
ふわあと種子が飛び立つように書いても
その種につかまって
青空へ旅立ち
はるか地表を見下ろして
小さくかわいくなってゆく風景にさっと挨拶する
つまり
詩というものを
広々と軽々と存在させるのは
やっぱり読む人なんだろう
と思う
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