ヴェランダから/瑠王
 

このヴェランダから

もう何日もずっと、雨がくるのを待っている

晴れの日も曇りの日も

安らう日を待っている



このヴェランダから

草原は見えないけれど

たくさんのヴェランダが見える

焦躁の火も悲境の火も

みんな雨を待っている



このヴェランダには

なにもないけれど

やっとの思いで糸を紡ぎながら

繰る日も繰る日も

雨がくるのを待っている




このヴェランダの

剥げかけた白い塗装と

私の頬をつたう水銀の涙を

洗い流してくれる

雨を待っている

ひとときであろうと安らう日を

待っている



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