午後と蛍/木立 悟
 



光へ終わる光があり
片手におさまる朝に目をふせ
雨の埠頭を巡っている


手首に根づいた花の声
聞くものもなく冬は深まる
干潟を跨ぐ鉄の曇
なだらかになだらかに降りつもる赤


墨の波を
小さな光が浮き沈む
どうすることもできずに
見つめつづけている


暗がりが暗がりのなかを飛び
音はふちどりに消えてゆく
ひとつの波が さらにさらにひとつの波が
ひとつの羽を憶えている


祈ることを止め
差し出される手のひら
堕ちるものの丸みを
抄いつづける



















戻る   Point(3)