夢つばめ/恋月 ぴの
 

遥か遠くの見えない世界にまで思いを馳せてみたい

日焼け止めクリーム塗ってくれば良かったかな

商店街の外れにあるクリーニング屋さんの出入り口
叩き落とされたばかりの痕跡は生々しくて
あれはつがいなのだろうか
巣の跡を離れようとしない姿は哀しみを誘い
もっと他のところで巣づくりしていれば…おせっかいにも
あれやこれやと気を揉んでみたりした

もう少し歩むと左手には近藤勇ゆかりの神社が見えてくる
薄暗い階段を仰ぎ見るだけでスカート姿には鬱陶しくて

私の脇をカメラ乗せたクルマが走り抜けていった
ご丁寧にも顔を塗りつぶした私の姿と
大切な巣を叩き落された事実を受け入れがたいツバメ達と
この瞬間はひと夏の風景と化して


レースの日傘くるりとまわる

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