陽炎の記憶/
あ。
な懐古的な景色は消えうせ
あっという間に
ぎらぎらとした色彩の現実に戻ってしまう
小学校から出てきた子ども達が
日陰を選んで下校している
アカやクロやキイロやミドリ
色とりどりのランドセルが小さく踊り
鮮やかなものを持たないわたしは
濃灰色の影を溶け込ませるしかなくて
ふと日向に目をやれば
アスファルトから立ち上る陽炎が
見慣れた風景を歪ませていた
本当はおまえも
鮮やかさに焦がれているだろうに
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