2020/モリマサ公
 
川はおびただしい死体の群れでおおいつくされて
おれたちは水に触れること無く向こう岸までたどり着くことができた
あまりにもまぶしすぎて影を無くしたまま
光を失ったコンビニエンスストアーの自動扉を手動で開ける
店内のがらんどうは今映し出されたあたしたちのこころだ

誰かが言った
誰なんだろう
ムスーにのびていく透明の腕たちをかきわけて
斜めになった床の上で慰め合う分またそこに空間が開いて行くようで
何度も目が開き何度もおびえ射精することができないでいる
萎えている性器をうやむやに引き出して日が暮れるまで雑誌を読んだ
ときに声をだして笑い声を立てて

あたしたちは夜目が効く
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