パンドラの箱/こめ
 
普通に分かると思っていた

この没落された国家が

何の機能もしていない

パンドラの箱だということを

沸点をこしてもまだ沸騰しない
涙のアパートは

決して崩れるといった選択はしなかった

顔に染み込んだ爪痕は

自分でひっかいたあと

私のことなんか何にも分かってない

などといった女に僕は

悪感を感じた震えた

他人のことなど絶対にわかるはずがない

それを分かると返した男も明らかに

鼻が延びていたのが分かった

目を閉じても見えるのは

この世のはての幻想と幻と蜃気楼と偽りで出来た

建造物でしかないのは

誰が見ても分かることだった

逆立して初めて目の当たりにするのは

世界が反転した異色のパラレルワールド

今テーブルに出された料理に

満足するやからは

今ある物で生きていけると

愚かなたかをくくった

異邦人でしかない


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