距離/鈴木まみどり
 
共鳴しないらしい!


きみは初めてお風呂へ入ったとき、
衝撃だったはずだ
手の指先がしわしわになってるー
水分が持ってかれたんだー
全身の穴という穴をふさげ!
それが自我とか
自意識とかの目覚めらしくて、
きみのなかで近代の幕開けだった

指先で色がわかるのが私の特技です
虹は一色です
銀河の果ては、
黒でもあり白でもあります
黒は吸いこむし、
白はスパークする
認識だ、言語だ、
あ、ばら色の雲、と語り合おう


きみが指先で睫毛を撫でる
「表情にとってもっとも重要なのは、
睫毛なの」
撫でられたら、
私の睫毛に星が宿った
「すごいね!

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