ソレイユ/夏嶋 真子
 
花は
そのことを知っていてなお

「笑って」

と、どこまでもやさしく
ほほえみかけてくるのです



「誰にでも均等に向ける
 機械仕掛けの笑顔で大丈夫


 自分を守るための
 かよわい嘘ばかりの笑顔で大丈夫


 真っ暗闇の中で
 明かりを求めてさまよったりせずに

 どうか笑って

 あなた自身が光のひとひらなのだから



 笑い方を忘れてしまっていても
 こわばった筋肉を動かして
 口角を太陽の方向に引きあげて
 それだけでいいから


 光の刃は強すぎて
 空虚な心さえも
 干上がっ
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